
木枯らしの吹くパリの広場に仮設された回転木馬。

自動オルガンの音色に誘われ子供達が掛けてくる。
今年も街に回転木馬が来たんだね。

焼き栗売りの売り子が見守る中、回転木馬はガタゴトと動き出す。
始めはゆっくり、やがて回転木馬はどんどんスピードを上げて
頬を林檎のように上気させて子供達を夢の世界へ運んで行く。

いつも見慣れた風景なのに、
いつも通る広場なのに、
今日はいつもと違う風景。

バールもパン屋もケーキ屋も噴水も教会も
何もかもが
グルグルと回転してやがて風景が色の帯に溶けて行く…

我が子を見守る大人に混じって、
ベンチの老人が手を振っている。
初老の男性はチョコを頬張りながら
子供達が風景に溶け色の帯になるのをじっと眺めている。

随分長い事廻っていたようにも思えるけど、 あっという間にベルが鳴り
回転木馬は止まってしまった。
遠くの記憶が色に溶け近くの景色に混ざり合う冬の午後。
子供達の歓声は日が沈むと大人達の笑い声に変わる。
人生は回転木馬。
いつまでもどこまでも。
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